腰痛で長年、苦しんできた。
20代から繰り返したぎっくり腰は100回を超える。マッサージ、鍼、灸、鎮痛剤、ブロック注射など様々な治療を試みた。しかし、束の間の安らぎは得られるものの痛みは強まるばかり。ついには、左脚のしびれも出現し、立つこと、歩くことさえ辛くなった。
日常生活や仕事でできない動作が増えていく。このまま動けなくなってしまうのか…。心も深く沈んだ。
その時、先輩の理学療法士 生駒先生が整体院を開業したことを思い出した。すがるような気持ちで「かぐら」へ向かった。
生駒先生はほがらかな笑顔で迎えてくれた。私が腰痛の苦しみを語ると真剣な表情に変わる。あふれ出す訴えを「はい」、「はい」と力強く相づちを打ちながら受け止めてくれた。
身体の評価をした後、治療を始めた。頭から足までの骨組みをソフトな手技で調整する。「構造を整え、自己治癒力を引き出すのです」と先生は言う。これまで受けてきた治療とは明らかにちがう反応があった。施術後、日が経つにつれ、尻上がりに腰が楽になっていくのだ。
通うたびに私の身体の分析が進む。見つかった骨格のゆがみに対し、生駒先生は惜しみなく、様々な手技を繰り出していく。
「今、どのような治療をしているのですか?」と聞くと、解剖学に基づいた根拠ある説明をしてくれる。治療室に並ぶ解剖の本はボロボロで付箋がたくさん貼ってある。生駒先生は、今も熱心に勉強を続けている。
背骨を強制して痛みをやわらげる自主トレーニング法も教わった。こんな効果のある体操があったのか、と感動。朝・昼・夜、その体操に励むのが日課になった。
「かぐら」に通い始めてから半年、ぎっくり腰は一度も起こしていない。左脚のしびれも消失した。腰に弾力が感じられるようになり、腰痛はぐっと緩和している。
姿勢が良くなり、52歳にして「背が高くなった」と言われる。ランニングや登山もできるようになり、人生が明るくなった。日々、からだが良くなる方向に向かっていくのを実感できるのが、何よりうれしい。
生駒先生は私の人生の窮地を救ってくれた。